優しい人

私の父は、優しい人でした。

父親の好きなところはそのまま結婚相手に求めるものだと言いますが、それもあるかなと思います。

夫にする人には無意識に、
父親を重ねるのかもしれません。

父は私が小学生の頃、
千葉に単身赴任をしていました。

夫婦仲の悪い時で、夫と離れられて母は楽しそうでした。

しかし父が任を解かれて戻ってくると、
夫婦仲は悪化しました。

私はずっと両親に仲良くして欲しかったのですが、両親が揉めるのも、不幸なのも嫌でした。

そして私が高校生の時に離婚が決まると、
なんだかホッとしました。

姉は進学を諦めて独立し、進学したかった私は父と残り、母は中学生の弟を連れて行きました。

妻を失った父を見るのは辛く、学校に行く気がなくなってしまいました。

でも何とか乗り越えて、滑り止めの大学に、父子家庭の奨学金で進学することができたのです。

それから私は家を出ましたが、父が再婚したため、実家に帰らなくなりました。

帰るたびに、後妻さんが私達の住んでいた家を変えてしまうし、いろいろ問題のある人だったので…
それでも子どもができてからは、何度か父を訪ねました。渡豪した姉も、義兄の意向で帰国の際には父に会っていたようです。

父が他界すると、それまで疎遠だった親戚関係も、父の葬儀をきっかけに復活。
疎遠の原因だった後妻さんはいなくなり、父の遺産の分配については、弁護士さんの力を借りました。

遺産をせめて子どもたちに遺したい、という病床の父の言葉に従い、ありがたく父のお金を頂きました。

でもお金より、私は父にも母にも、幸せになって欲しかったんだなと思います。

今は自分の家庭を、家族を、精一杯幸せにしようと思います。

お父さん、ありがとう。

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